商品指名検索の流入が1ヶ月で10倍に。伸ばしたのではなく、ボトルネックを外しただけだった
「広告費ほぼゼロ。プロジェクトキックオフから1ヶ月で、商品指名検索からの流入が10倍になりました。」
社内の勉強会で、先輩がそう発表したとき、わずか1ヶ月での変化に、私は思わず身を乗り出しました。
いったいどんな一手を打って、AIをどう使ったのだろう。
続けて先輩が話したのは、新しい施策を積み上げた話ではなく、もともと足を引っ張っていた原因を一つ外した、という話でした。
「どう伸ばすか」の前に、「何が止めているか」を疑う
プロジェクトを任されると、つい「どう伸ばすか」から考えてしまいます。新しい訴求、新しいコンテンツ、新しいチャネル。成果を出すとは、何かを積み上げることだと私は思い込んでいました。
でも先輩の考え方は逆でした。多くのプロジェクトには、需要をどこかで取りこぼしている“詰まり”がある。新しいことを足す前に、その足かせを外すだけで一気に伸びることがある、というのです。
伸びていないのは、やることが足りないからとは限らない。すでにあるマイナスが、伸びを押さえているだけかもしれないと気付きました。
本当の詰まりは、自分の専門の外にある
厄介なのは、自分の専門からは見えにくい位置にある点です。
先輩の専門は戦略設計です。つい得意な領域の中だけで「どう伸ばすか」を考えてしまいがちですが、このとき本当の原因は、集客やデータ分析、サイトの細かな設定など、普段あまり踏み込まない領域にありました。
だから先輩は、プロジェクトを本格的に動かす前に、AIを使って専門の外まで一気に点検しました。「データアナリスト」「各施策領域の専門家」など、役割を持たせた数十のAIエージェントを立て、あらゆる領域を横断して現状を診断させたのです。
人では追いつけないスピードで膨大な範囲から、自分の頭になかった観点まで含めて“詰まり”を洗い出す。派手な新施策を生むことばかりが、AIの使いどころではないのだと感じました。
数値を動かしたのは、拍子抜けするほど地味な一手だった
洗い出したいくつもの問題のなかで、先輩が最優先に選んだのは、ごく小さな設定の修正でした。
本来なら成果に直結するはずの主力の導線が、以前からのちょっとした設定の不備で、実質的に機能しないままになっていたのです。需要はあるのに、受け止める入り口がふさがったままでした。
その領域の担当者なら気づきやすい、基本的な見落としです。しかし戦略設計が専門の先輩には、自力では見つけにくい課題でした。まさに、専門の外にあった足かせでした。
大きな目標を前にすると、つい新しい施策に気が向きます。でも先輩は、積み上げるより先に「すでにあるマイナスを最速で消す」ことを選んだ。結果、その一点を直しただけで、数値は1ヶ月で10倍に跳ねました。
伸ばす前に、足かせを外す
もし私が担当者だったら、訴求軸を練り直し、AIで壁打ちしながら……と、新しいことを積み上げる方向に走っていたはずです。それでも成果は出たかもしれません。ただ、1ヶ月で数値を動かすスピードは出せなかったと思います。
伸ばそうとする前に、まず何が足を引っ張っているかを疑う。その原因は自分の専門の外にあることもある。
だからこそ、動かす前にAIで広範囲に洗い出すことが最速で成果を伸ばすことにつながることを、先輩の事例から学びました。
新しく何を足すかを考える前に、すでにあるマイナスを無くせないか。AIをどう使うかより先に、そこから始めたいと思います。
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