AIにデータを読み込ませて壁打ちしただけのありきたりな発表が、予想外に大絶賛された話
弊社では、「従来よりもAIを使ってどれだけ成果を上げたか」を各メンバーが順に発表していくケーススタディ会を実施しています。
AIエージェントを組んで業務を自動化した話、ハーネスを何層にも重ねて開発速度を上げた話。周りのメンバーがそんな事例を発表していくなか、自分が発表できるのは、「AIとチャットで話した」だけの事例でした。
正直、見劣りするだろうなと思っていました。
数百件のメモをAIに読み込ませて、チャットで対話した
私が発表したのは、ある士業事務所の広告案件です。
広告費は上げられない。電話対応の改善にも、外からは踏み込めない。広告運用側で打てる手は、もう打ち尽くしてしまった。その状況からもう一手何ができるかを探っていたとき、目にとまったのが「大量の電話応対メモ」でした。
顧客管理システムのコメント欄に大雑把に書かれたメモが、数百件溜まっていたんです。
AIがあればこのメモを紐解けると思い、すべて読み込ませて、「依頼につながった相談とつながらなかった相談で、何か違いはないか?」を、チャットで探っていきました。
見えてきたのは、言葉の違いでした。相談の時点で「ある言葉」を使う相談者は、正式依頼につながる率がおよそ2倍。そこで、広告文にその言葉を入れました。その言葉に反応する人に、広告をクリックしてもらう狙いです。
結果、その言葉を含む相談は3ヶ月で2.2倍に。依頼につながりやすい相談が増え、受注数は1.4倍になりました。広告費は1円も増やしていないので、受注1件あたりの広告費は24%削減です。
「AIをあまり使えていない」と思っていたのに、大絶賛された
発表しながら、内心は身構えていました。「これをAIのケーススタディ会として発表していいのか?」と思うレベルでしか、AIを使えていなかった。ただチャットと対話しただけの、地味な話です。
ところが、先輩からもらった総括はこうでした。
「AIをゴリゴリ使えるやつがエラいんじゃなくて、それでパフォーマンス出してるやつがエラい。だからこの事例はとてもすばらしいね」
引け目を感じていた分、正直かなり意外でした。同時に、少しほっとしたのも事実です。
価値基準は「AIを使いこなせているか」じゃなかった
この総括をもらって、自分の中にあった焦りの正体がわかった気がしました。
私はどこかで「AIをどれだけ使いこなせているか」を基準に、自分を測っていた。でも、大切なのはそこじゃない。クライアントの数字が従来よりも動いたかどうか、それだけです。
AIエージェントをいくら組んでいても、成果が出ていなければ意味がない。逆に、チャットとの対話だけでも、パフォーマンスが上がればそれはすばらしいこと。
目指す場所は、AIを使いこなすことではなく、目の前の案件のパフォーマンスをどう上げるか。今回の一件で、そこがようやく明確になりました。
課題は山ほどある。それでも、ブレる必要はない
もちろん、もっと便利なAIの使い方があるのも事実です。今のやり方には、伸びしろも課題も山ほどあります。今の自分に満足しているわけではないし、AIで従来よりもパフォーマンスを上げるための最善手は、これからも学び続けるしかありません。
ただ、今回のケースで自分に深く刻まれたのは、AIを使いこなすことそれ自体を、私たちの会社は求めているわけではないということ。
焦りが消えたわけではありませんが、目指す場所はもうブレません。次に発表の順番が回ってくるまでに、また1つ、クライアントの数字を動かしていきたいと思います。
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